新井ぶどう園のブラックオリンピア

幻のブドウ「ブラックオリンピア」

「ブラックオリンピア」は、巨峰の改良品種で、幻の赤ブドウ「オリンピア」の姉妹品種です。

ブラックオリンピアは、酸味や渋みの少なさと、そのとろけるような甘さが特徴的な、とっても美味しいブドウです。

しかし、裂果しやすく、栽培が難しいため、栽培農家も、栽培面積も減少傾向にあります。

2011年に行った農林水産省の統計では、ブラックオリンピアの栽培面積は全国でたったの0.2%しかありませんでした。
近年ではシャインマスカットやほかの新しい品種の登場などもあり、さらに栽培面積は減少しています。

「美味しいけれど、そこまで手間ひまをかけられない」という理由から、生産農家は限られています。

ブラックオリンピアは、その名前も耳にしたことがない人の多さからもわかる通り、市場への流通量はごくわずかです。
作る人が少ないので、これは当たり前のことです。

とっても美味しいのに、なかなか手に入らない。
そのことから、ブラックオリンピアは「幻のブドウ」とも呼ばれています。

オリンピアについて

ブラックオリンピアの姉妹品種であるオリンピアは、1953年に偶然生まれた品種です。

東京都のぶどう育種家であった沢登晴雄氏が、当時、巨峰の品種改良の過程で、巨峰×巨鯨の交配で作ったもののうちの1本から生まれたのがオリンピアでした。

その後、まだ無名であったこの品種が業界の月刊誌に掲載されると、生産者からの引き合いが殺到しました。
そして、苗木の分譲と日本各地での試作を経て、瞬く間に赤色の最高級品種として生産者を魅了するものとなりました。

また、このオリンピアという名前は、東京オリンピックにちなんでつけられました。
オリンピアの生まれた最初の偶然から10年余、いよいよ全国で本格的に生産される段階になった年がちょうど東京オリンピック開催の年(1964年)だったのです。

オリンピック聖火の炎のような美しい鮮紅色と、若者の夢と情熱を思わせる大粒の新品種として生産者たちの夢が託され「オリンピア」と命名されました。

そしてそんな中、同時に交配された品種の中にあったのが、当園でも栽培しているブラックオリンピアです。

新井ぶどう園のブラックオリンピア

新井ぶどう園では、秩父でも有数の広さである、1.1ヘクタールの面積でブドウ園を営んでいます。
私たちは12品種のブドウを栽培していますが、その中のひとつであるブラックオリンピアは、畑全体の3割ほどの面積を占めています。

つまり、私たちの作るブドウのほとんどが、ブラックオリンピアであるといっても過言ではありません。

また、新井ぶどう園では、種ありのブラックオリンピアを生産しています。

市場からは種なしのブドウが求められることが多く、さらに、種なしにすることで栽培も容易になるので、わざわざ種ありのブドウを栽培する人は少ないです。
栽培の難しいブラックオリンピアではなおさらです。

では、私たちはなぜ、わざわざ種ありのブラックオリンピアを生産しているのでしょうか?

理由はとてもシンプルです。

種なしのブラックオリンピアに比べ、種ありのブラックオリンピアの方が、ずっと美味しいからです。

ブラックオリンピアの生産農家は少ないのですが、その数少ない生産農家でも、種なしの処理(ジベレリン処理)をしたものが主流となっている中、私たちは本当に希少な存在となっています。

ブラックオリンピアは巨峰より美味しい?

ブラックオリンピアが熟すと、酸味が少なくなり、上品な香りとコクを持ちます。
糖度も18度以上となり、非常に甘さが強い品種です。

ブラックオリンピアは、じっくりと見なければ、一見、巨峰と何ら変わりなく見えます。

しかし、よく見ると、巨峰よりもブラックオリンピアの方がより深い黒色をしています。
そして何より、食べた時の味わいが全然違います。

ブラックオリンピアは巨峰よりも濃厚で、香り高く、まさに、1ランク上の逸品です。

ブラックオリンピアをジュースにして飲むと、あまりの味の濃さで、薄めないと飲めないほどです。

一度味わうと、巨峰ではなく「ブラックオリンピア」のとりこになってしまうこお、間違いなしです。

ぜひ一度、新井ぶどう園の自慢のブラックオリンピアを召し上がりください。

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